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計画と無計画のあいだ---「自由が丘のほがらかな出版社」の話

 出版社を作る。それは僕にとって大きな夢のひとつだ。そんなに大規模でなくていい。三島さんが「ブンダン主義」と表現するバラバラな役割分担制の状態に陥らないように「出版が全身運動」であるような出版社。そんな場所を作ってみたい。ミニコミとか同人誌とか作ってて、やはり次のステップとして出版社を作るというのは結構必然的な流れなのではないかとも思います。
 僕はもうマスコミとかミニコミとかいう括りはあんまり重要なように思わなくなっていて。インディーズであることに価値を求め始めていたりします。だって、ミニコミのようなものでもどこかのひも付きのようなところは沢山あるし。もっと、小回りが利くとか痒いところに手が届くとかそういうことを大事にしたい。

 そして本書の中で三島さんが書いているように、「出版社をつくる」ということは「場所を作る」ことでもある。ここで僕がこの3年くらいにしてきた活動がひとつに統合されます。「インディーズメディア」の次に、未来回路の関心の場となったのは「シェアハウス」でした。そこで、シェアハウスの共同スペースやコワーキングスペースみたいな事務所を作ってみたいな、と。

 そう考えると夢はどんどん広がっていきます。

 古本をたくさん置いて古本カフェみたくしよう、とか、昼にカレーとか出して全然出版とか関係のない人でも入れるようなところにしようとか、イベントスペースにも活用しよう、とか。今までのフィールドワークの成果が色々と出てきそうです。とにかく、計画倒れにならないように楽しみながら頑張っていきたい。最初は本当に小規模で、ゆっくりと育てていければいいなぁ。

 そんなことを考えている中でミシマ社さんのようなところが存在するのはとても心強いです。モデルとしては似ても似つかないものになるとは思いますが、自分が正しいと思った方向へどんどん行動し続けて形にしていっている人がいるっていうことは、それだけで勇気付けられる気がします。

 最後に、この本で一番気に入った言葉で明らかにレビューではないこの文章を締めたいと思います。

「強さは幻想でしかなく、弱さだけが本物だ。」

 
【中川康雄(なかがわ・やすお)】
文化批評。表象・メディア論、及びコミュニティ研究。
未来回路製作所主宰。
個人ブログ:http://insiderivers.com