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虫の声が響いている静かな井の頭公園の中にそのテントは建っていた。台風が関東に到着する前日に、濡れた草木や地面が夜に溶け込んでいるようなその公園の中で。その夏の終わりの冷めていてしっとりとした湿度の中で。何かの依り代のようなそのテントからは光が控えめに零れでている。

劇は様々なパートのパッチワークからその姿を構成されていた。それぞれのパートは役者たちによってバラバラに書かれたものだという。それらを演出家が配置していくのだが、その配置の仕方も例えば、着替えの時間の必要性だとか、そういった物理的な必然性によるところが大きいという。もちろん、この物理的な制約は全ての演劇において無関係ではありえないが、この強い物理的な制約がひとつの演出のように機能しているということが、特に「どくんご」という劇団において重要なことのように思われた。なぜなら、強烈なマテリアル感がその特徴であるように思われたからだ。

ある作品を観た時に、それがどのような生活をしている人々によって作られたものなのかとても気になることがある。本作品を観劇後、特にその欲求を強くかきたてられた。それで劇が終わった後、テントの中で行われた打ち上げに参加して聞いてみたのだが、劇団のメンバーは共同生活をしながら各地を旅しているという。また、その中で話したことで印象的だったのは、コアなファンたちは例えば地方に在住する都心部からのUターン組のようにどこか異邦人のようなアイデンティティを持つ人が多いということだ。

もしかしたら、彼らは「どくんご」の作品に「異邦人であること」と「コミュニティであること」の二重性を観ているのかもしれない。そしてその二重性は長きに渡る日々の中でゆっくりと醸成されてきたものである。それは「どくんご」のテント芝居が放つかけがえもなく贅沢な魅力であろう。

(了)

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公演第二十七番
『君の名は』

【出演】暗悪健太 五月うか 2B 石田みや (第七インターチェンジ) どいの 他
【構成・演出】どいの 
【美術・衣装・人形】五月 
【木工】健太
【制作】黄色い複素平面社 時折旬 ワタナベヨヲコ まほ 空葉景朗

・東京 9/6(金)~9/15(日)
井の頭公園 西園ジブリ美術館裏

・静岡 9/21(土)・22(日)
アトサキ7

・名古屋 9/26(木)・27(金)
城山八幡宮

・大阪 10/3(木)・4(金)・5(土)
大阪城公園 太陽の広場

・岡山 10/8(火)・10/9(水)
旧内山下小学校校庭 岡山市民会館向側(岡山市北区丸の内1-2)

・丸亀 (香川) 10/13(日)
廃材天国

・脇町 (徳島) 10/18(金)・10/19(土)
うだつアリーナ 多目的芝生広場

・高知 10/23(水)
イオンモール高知東側空地

・松山 (愛媛) 10/27(日)
城山公園(堀之内)

・広島 11/1(金)
広大跡地(東千田公園)

・福岡 11/4(月・祝)・5(火)
須崎公園

・熊本 11/9(土)・10(日)
(交渉中)

・宮崎 11月中旬
KITEN広場(交渉中)

・鹿児島 11/22(金)・23(土・祝)・24(日)
ライオンズ広場

HP:http://www.dokungo.com/
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【中川康雄(なかがわ・やすお)】
表象・メディア論、及びコミュニティ観察。
インディーズメディア「未来回路」主宰。
Twitter:insiderivers
個人ブログ:http://insiderivers.com