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東京は郊外から消えていく! 首都圏高齢化・未婚化・空き家地図 (光文社新書)

 三浦展さんの著作を読むと、いつも自分がぼんやりと把握していたものが言語化・理論化されていくのを感じ取ることができる。

 本書は一言でいうと「郊外の都市化」についての本である。これからの時代、「郊外の都市化」が強く望まれている、というのだ。ここでいう「都市化」において最も重要なファクターは、働く場所ができる、ということになる。

 現在、地方では高齢化が進んでいる。ここままでは税収が減り、福祉予算ばかりが増えて、なんらかの手を打たなければいつかは財政破綻するだろう。

 だからこれからの時代は、それぞれの自治体が若い世代、働き手を奪い合う時代になるはずだ。結果、様々な地方が分立する時代となるだろうと、近未来の日本の状況を様々なデータをもとに予測している。

 本書では、その「郊外の都市化」についての鍵となる潮流を5つ挙げている。

①職住分離から職住近接、職住一致へ

②住宅だけのベッドタウンとしての住宅地から、商業、オフィス、文化、農業などが混在した新しい都市的住宅地へ

③30~40代の子育て期の核家族だけの住宅地から、若者、高齢者、単身者など、多様な世代の多様な形の家族が混在した街へ

④私生活主義中心のライフスタイルから、パブリックでシェア的なライフスタイルへ

⑤行政まかせから、住民の街づくりへの主体的な関与へ

 今後の日本は、ニュータウンが30年経ちオールドタウンになり、空き家や空き地が増えていく。この空き家や空き地をどう活かしていくかが今後、非常に重要になってくるだろう。もしそうしなければ、オールドタウンはゴーストタウンになってしまう危険性がある。けれども、しっかりとしたマネジメント組織を作り、住民が主体的にその空き家や空き地の活用法を考えていけば、住民にとってオールドタウンは、今よりもすばらしいゴールドタウンになっていく可能性すらある。

 本書はこれからの変化に対し、郊外の最適化を提案している一種の希望の書でもあるのではないだろうか。

【中川康雄(なかがわ・やすお)】
文化批評。表象・メディア論、及びコミュニティ研究。
インディーズメディア「未来回路」主宰。
Twitter:insiderivers
個人ブログ:http://insiderivers.com