「政治の領域まで浸透した『ファスト文化』に熟慮の種を撒いていく」、『啓蒙思想2.0』(ジョセフ・ヒース 著)

この記事の所要時間: 247

この記事の所要時間: 約 2分47秒 1.スピードが私たちを在らぬ場所へ連れ去っていく時代 「理想は、私たちをもっとバカにではなく、もっと利口にする環境を生み出すための操作の対象のみならず、相互に作用しあう制度ともに協働…

「その読後感の変化に驚く。『スピード』が支配する社会がたどり着く場所」、『自由からの逃走』(エーリッヒ・フロム 著)

この記事の所要時間: 325

この記事の所要時間: 約 3分25秒 1.私たちの「自由」は今、どのような道をたどっているのか? 「自由の追求は形而上学的な力ではなく、自然法によって説明することはできない。それは個性化の過程と文化の成長の必然的結果であ…

「この世は三十路女のための教科書を沢山つくってくれている」、『ピスタチオ』(梨木香歩 著) 評者:北原しずく

この記事の所要時間: 312

この記事の所要時間: 約 3分12秒  久々の梨木香歩さんの新刊。「西の魔女が死んだ」で有名な、優しい物語を紡ぐのが上手な作家さんのひとりです。  が、今回の梨木本はこわかったです。凄味があります。あらすじは書店に行って…

「いつの間にか聴こえなくなってしまった声の元へ」、『棄国子女』(片岡恭子 著)

この記事の所要時間: 21

この記事の所要時間: 約 2分1秒 「命よりも大切なものなんてない。人生は一度しかない。刷り込まれた幻想に振り回されるのはやめよう。」(p.11) 「旅」という行為には、人それぞれ、様々な意味合いがある。それは人生そのも…

「人類と娘、あるいはトウモロコシ畑と宇宙の話。」、映画『インターステラー』(監督:クリストファー・ノーラン)

この記事の所要時間: 452

この記事の所要時間: 約 4分52秒 ※SF的な要素の分析はネット上にも散見されるので、ここでは備忘録的なレビューを書いておきます。ちなみに、ネタバレありまくるので、まだ観ていない人はご注意を。 1.黄昏時の人類、その最…

「境界線のこちら側から芸術ができること」、『透明な隣人 ~8 -エイト-によせて~』作・演出: 西尾佳織(鳥公園)/ドラマトゥルク: 岸本佳子(空[utsubo])

この記事の所要時間: 39

この記事の所要時間: 約 3分9秒 1. 『8ーエイトー』。この戯曲はアメリカ・カルフォルニア州で実際に起きた同性間の婚姻の合憲性を問う裁判を題材にしている。とあるゲイの政治家の生涯を描いた映画『ミルク』の脚本を担当した…

「生活の場に根ざし、触感のある本を」、『失われた感覚を求めて』(三島邦弘 著)

この記事の所要時間: 133

この記事の所要時間: 約 1分33秒 1.本の中での出会い 「読み手の想像力に結び付いたとき、たった一文字であってもとてつもない広大な世界を与えることだってできる。」(p.2) 本の中で特別な出来事を経験することがある。…

「柳田民俗学を『社会をつくるツール』として読む」、『社会をつくれなかったこの国がそれでもソーシャルであるための柳田国男入門』(大塚英志 著)

この記事の所要時間: 228

この記事の所要時間: 約 2分28秒 1.日本における「近代 未完のプロジェクト」 日本の近代は社会を作り損なっている。 そのことは、SNSが当たり前のように使用され、多くの人がつながっている情報環境にある現在、これまで…

「そこにあるのに見えないものを、見えるようにする魔法」、『ソーシャルストリップ』(作・演出:大道寺梨乃)

この記事の所要時間: 57

この記事の所要時間: 約 5分7秒 1. 記憶とモノ 「人は見た目で判断しちゃいけない」とか「した方がいい」とか、身に付けていたり持っているモノだとかで、そのヒトトナリというか、そんなのがひょっこり顔を出してたりするのだ…

「読者と作家とパラフィクションと。」、『あなたは今、この文章を読んでいる。』(佐々木敦 著)

この記事の所要時間: 216

この記事の所要時間: 約 2分16秒 「メタフィクション」から「パラフィクション」へ。なんて言い方をすると、もしかしたら読者は、新しい時代の萌芽のようなものを言い当てることが、本書の趣旨のように思うかもしれない。「〜から…

「現在進行形で紡ぎ出される古典の香り」、『現実脱出論』(坂口恭平 著)

この記事の所要時間: 453

この記事の所要時間: 約 4分53秒 1. 坂口恭平さんの本からは、新しいのに古典の香りがする。古典とは、その著者が生きた時代に限定されずに輝きを放つものだ。坂口さんが触れようとしているのは、そのようなものなのではないだ…

劇評「アジア的価値の生み出す秩序と応援歌としての物語」、『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』(SPAC-静岡県舞台芸術センター)

この記事の所要時間: 524

この記事の所要時間: 約 5分24秒 1. 今年の7月にフランスで開かれた演劇の祭典「アヴィニョン演劇祭」。そこで公演した宮城聰さん率いる劇団「SPAC-静岡県舞台芸術センター」が、この9月に神奈川県芸術劇場で凱旋公演を…

「先端技術と地域が交わるところ」、「MEDIA/ART KITCHEN YAMAGUCHI―地域に潜るアジア:参加するオープン・ラボラトリー」(山口情報芸術センター)

この記事の所要時間: 542

この記事の所要時間: 約 5分42秒 1. 先日、一年ぶりくらいに、山口にある実家に帰っていたのだが、その時に、私が勝手に「山口の二大アート拠点」と名付けている「秋吉台国際芸術村」と「山口情報芸術センター(YCAM)」と…

「知のあり方の根幹に立ち帰る」、フリーペーパー『パラ人』(吉岡洋 他)

この記事の所要時間: 319

この記事の所要時間: 約 3分19秒 今回は、珍しく商業誌でない作品について書いてみたいと思います。 この場所は、インディーズとかメジャーとか、特に隔てなく並べてみることも目的のひとつだったので、その意味では、原点回帰と…

「2つの時間と終わらせることの困難さ」、『小林秀雄とその戦争の時』(山城むつみ 著)

この記事の所要時間: 157

この記事の所要時間: 約 1分57秒 「恐ろしい」のは、決して悪魔でない人間でも、いや「心の清らかな単純な人間」でも、つまり「厭ふべき人間に堕落しないでも厭ふべき行為」を、日常茶飯事と横並びに特別な「意味」もなく行なって…

「自らのルーツと生命の連鎖が交わる場所」、『2つ目の窓』(脚本・監督 河瀬直美 )

この記事の所要時間: 254

この記事の所要時間: 約 2分54秒 本作品の主たる舞台となっているのは、九州南方の海上にある奄美大島だ。河瀬監督の先祖のルーツがこの島にあるという。これまで自らの出身地である奈良を舞台にして映画を撮り続けていたのが、本…