劇評「演劇の遺伝子を探す旅の途中」、『機劇 〜「記述」された物から出来事をおこす〜 Aプログラム 身体・譜面』(構成・作・演出:篠田千明)

この記事の所要時間: 531

この記事の所要時間: 約 5分31秒 A.説明 2012年に劇団「快快」を脱退し、タイのバンコクで暮らしている演出家・作家の篠田千明さんの本格的なソロ活動の第一弾。2015年発表予定の演劇に向けたプロジェクトという位置づ…

「集合的なトラウマからの回復と失われた10年の関係」、『Youth Movements, Trauma and Alternative Space in Contemporary Japan 』(Carl Cassegård)

この記事の所要時間: 512

この記事の所要時間: 約 5分12秒 ミニコミ誌「未来回路』にも寄稿していただいたことのあるスウェーデンの社会学者、カール・カッセゴールさんが昨年出版された著作『Youth Movements, Trauma and A…

「何もしない時間の贅沢を考える」、『「4分33秒」論』(佐々木敦 著)

この記事の所要時間: 258

この記事の所要時間: 約 2分58秒 ある作品について語る時、そこには語り手の好みや観点が少なからず露呈するものだ。たとえどんなにその「主観」を抑制しようとしても、自己という一点を全く消し去ることは、語りという行為の構造…

「日常と事件をシームレスにつなぐ想像力のありか。」、映画『罪の手ざわり』(ジャ・ジャンクー 監督)

この記事の所要時間: 436

この記事の所要時間: 約 4分36秒 1. 急激な変貌を遂げている現代の中国社会。その中でひたむきに生きる人々が、もがき苦しみながら自死や犯罪の当事者へと追い込まれていく。本作品はその姿を、誰もが足を踏み入れかねないもの…

「何故、私たちはその音楽に惹かれるのか」、『オルタナティブロックの社会学』(南田勝也 著)

この記事の所要時間: 440

この記事の所要時間: 約 4分40秒 1. 「ロックは死んだ」という言葉が意味をなすようなロックは死んだ。そして、だからこそ音楽としてのロックは生き長らえている。 (p.6) 旧来のロックという音楽によって担われていた諸…

「インターネットとデジタル工作機の融合が可能にする世界」、『SFを実現する』(田中浩也 著)

この記事の所要時間: 420

この記事の所要時間: 約 4分20秒 1. 「SF」のイメージをハッキングする タイトルにある「SF」という言葉は、一般的には「サイエンス・フィクション」という意味を想起させるのではないでしょうか。けれども本書では、この…

「いつか子どもだったはずのすべての大人たちへ」、『宮崎駿論』(杉田俊介 著)

この記事の所要時間: 623

この記事の所要時間: 約 6分23秒 1. 現在、アニメーション作家・宮崎駿、そしてスタジオジブリが生み出す作品たちは、多くの人びとにとって共通言語のようなものとして流通している。既存の作品たちだけでなく、新作が発表され…

「別の価値を持つ場所を繋ぎ合わせて、豊かな生活をつくる。」、『フルサトをつくる』(伊藤洋志 × pha 著)

この記事の所要時間: 347

この記事の所要時間: 約 3分47秒 当たり前のことであるが、「故郷」(ふるさと)という言葉は「生まれ育った土地」のことを指す。けれども、本書では「フルサト」とカタカナ表示にすることで、その「故郷」の中にある機能を指す言…

「現在の情報環境の中で成熟する地に足の着いた若者文化。」、『一〇年代文化論』(さやわか 著)

この記事の所要時間: 511

この記事の所要時間: 約 5分11秒 本書では、「残念」という言葉の持つニュアンスが、近年、変化してきていることに注目している。著者はその「残念」という言葉をコアにして、現在の日本がどういう状況なのかを理解しようと試みて…

「複雑なものが複雑なまま、抜き身のまま露呈するジャンルとしてのインディーズ。」、『遊びつかれた朝に』(磯部涼,九龍ジョー 著)

この記事の所要時間: 251

この記事の所要時間: 約 2分51秒 音楽もそうだし文学もそうだが、その楽しみ方は多様であっていい。その楽しみ方のスタイルとしてすぐに頭に浮かぶのは2つの方向性がある。 1つは、そのジャンルの中でどのように位置付けられる…

「様々な境界線を突破し、幸せとは何かを問う眼差し」、『世界「比較貧困学」入門』(石井光太 著)

この記事の所要時間: 439

この記事の所要時間: 約 4分39秒 1. 日本は世界第3位の「相対貧困」大国 本書の目的のひとつは、日本の「貧困」がいかなる特徴を持つのかを浮き彫りにすること。そのために、世界の「貧困」との比較がなされています。 けれ…

「スペクタクルから一歩踏み込むドキュメンタリー」、映画『アクト・オブ・キリング』(監督:ジョシュア・オッペンハイマー)

この記事の所要時間: 729

この記事の所要時間: 約 7分29秒 1. ドキュメンタリーとしての価値 このドキュメンタリー映画を観終わってから、最初に考えたことは、この作品が観た人たちにどのような効果を与えるのだろう、ということでした。その効果とし…

「自由と不自由の入れ子細工と後戻りできない飛躍」、映画『アデル、ブルーは熱い色』(脚本・監督:アブデラティフ・ケシシュ)

この記事の所要時間: 38

この記事の所要時間: 約 3分8秒 古今東西において、人の営みというものはそれほど変わるものではない。 本作の中には、社会階層の違いやそれに基づく習慣の違い、同性愛という存在の受容のあり方など、様々な現代的な要素が散りば…

「タモリを語ることの豊かさ、その入り口として」、『タモリ論』(樋口毅宏 著)

この記事の所要時間: 240

この記事の所要時間: 約 2分40秒 タモリの凄さについて「よくわからない」という「タモリ不感症」の人たちも、いつか必ず、タモリの圧倒的なスケール、達人ぶり、その絶望の深さを知るときがきます。 僕はそれを「タモリブレイク…

「自己啓発と現代哲学、その二つの間をつなぐもの」、『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健 著)

この記事の所要時間: 554

この記事の所要時間: 約 5分54秒 1. アドラーと自己啓発 本書は自己啓発の源流にあるアルフレッド・アドラーの個人心理学の全体像を、青年と哲人の対話という形式で描き出している。 もしかしたら、自己啓発という言葉を聞い…

「新しい合意形成のルールに則り、日本が世界をリードするために。」、『日本がアメリカに勝つ方法』(倉本圭造 著)

この記事の所要時間: 54

この記事の所要時間: 約 5分4秒 まずこの引用から始めたい。 戦争時代に近隣諸国において悲劇的なことを起こしてしまった被害者の人たちに対する反省を本当に貫き通すためにも、そして靖国に眠られている英霊たちが「この世界全体…