ぴえんな世の中をよりエモく生きていくために、『ぴえんという病~SNS世代の消費と承認』(佐々木チワワ 著)

この記事の所要時間: 542

この記事の所要時間: 約 5分42秒 1. 資本主義最大の、おそらく最後の開拓地「個人の身体」へ いったい今、私たちの住むこの国に何が起きはじめているのだろうか。 いつのころからか、この日本において「個人の身体」が消費活…

「ルーツから生まれる旅とその記録」、『越えていく人 南米、日系の若者たちをたずねて』(神里雄大 著)

この記事の所要時間: 135

この記事の所要時間: 約 1分35秒 日系移民と聞いて思い出すのは、ずいぶん前にオーストラリアのバイロンベイという町のゲストハウスで出会った、ブラジルから来たとある旅行者のことだ。そこにいた日本人の旅行者たちの輪の中には…

「自然と文化をシームレスにつなぐ進化とフィクション」、『ヒトの目、驚異の進化』(マーク・チャンギージー 著)

この記事の所要時間: 211

この記事の所要時間: 約 2分11秒 1. ヒトの視覚進化と肌の色の関係 ヒトの持つ知覚の中でも大きな情報源となっている視覚は、肌の色が持つ情報を深く読み取れるように進化している、というのが本書を読んでいく上でのファース…

「料理して食べるということ」、『cook』(坂口恭平 著)

この記事の所要時間: 214

この記事の所要時間: 約 2分14秒  各地を転々と旅しているとき、それぞれの場所での滞在期間はそれほど長くないし、現地の会社との取引もほとんどないデジタルノマドだったので、現地での人間関係はそれほど深められない、という…

「AI研究の歴史と現状、そして未来をシンプルに概略化」、『人工知能は人間を超えるか』(松尾豊 著)

この記事の所要時間: 246

この記事の所要時間: 約 2分46秒 世の中に溢れている人工知能(AI)をめぐる情報は、正確に把握されたものではないからこそ、根拠のはっきりとしない期待や不安に満ちている。隠されたものが隠されているが故に、無限の創造力を…

「ヨーロッパの普遍的なものの衰退と限界について」、『21世紀の自由論』(佐々木俊尚 著)

この記事の所要時間: 330

この記事の所要時間: 約 3分30秒 本書で前提になっている認識のひとつは、私たちが現在、世界システムの長きに渡る移行期の中で暮らしているということだ。もちろん、そのことに異論を挟む人は少ないだろう。各国家間の経済や軍事…

「2つの問いが交差する場所で」、『持たない幸福論』(pha 著)

この記事の所要時間: 231

この記事の所要時間: 約 2分31秒 人間の行動を形作る価値観や、それに基づく習慣の総体としてのライフスタイルは、時代や場所による環境によって変化するものだということに、異論を唱えるものは少ないだろう。例えば、経済や政治…

「母国語を外国語のように書き、どこにいても異邦人のようであること」、『ニッポン発見記』(池上紀 著)

この記事の所要時間: 145

この記事の所要時間: 約 1分45秒 母国語をまるで外国語のように書くこと。私が「文学」というものの特性を考えた時、それはとても重要なエッセンスとなる。しかし、それは「小説」などの特定のジャンルに拘束されることのないもの…

「そのようにしか生きることのできない人々の姿が映し出すもの」、『「生き場」を探す日本人』(下川裕治 著)

この記事の所要時間: 134

この記事の所要時間: 約 1分34秒 「ここじゃないどこかへ」。 なんて言葉が孕んでいる感情は、すでにレトロで懐古主義な印象すら人々に与える。それは、「いまここ」や「マインドフルネス」といった思考傾向が、現代の日本が行き…

「『マオ・レゾルビーダ』だからこそ放てる鮮烈な『エモさ』」、『傷口から人生』(小野 美由紀 著)

この記事の所要時間: 233

この記事の所要時間: 約 2分33秒 最近、少し「エモさ」というものが、インフレを起こしているように見える。マーケティングとか、キャラ作りとか、仲間との共有するネタとして、とか。つまり、「エモさ」が一種の消費財のようにな…

「まるで居心地の良い居酒屋でも探すかのような。」、『メモリースティック』(九龍ジョー 著)

この記事の所要時間: 237

この記事の所要時間: 約 2分37秒 「あっ、昨日は九龍ジョーさんの著作の発売日だったな」。午前中の用事を終えた僕は16時に北千住で行われる演劇を観る前に、新宿の本屋に向かうことにした。 最初に行ったのは、よく新刊本を買…

「〈島〉の住民たちに〈海面下〉のことを伝える人びと」、『コミュニティ難民のススメ』(アサダワタル 著)

この記事の所要時間: 54

この記事の所要時間: 約 5分4秒 1.リスクヘッジとアイデンティティの喪失   著者のアサダワタルさんは、フワッと何かに護られいるような印象を受ける人だ。もちろん、それは僕の主観にすぎないわけだが、本書を読ん…

「政治の領域まで浸透した『ファスト文化』に熟慮の種を撒いていく」、『啓蒙思想2.0』(ジョセフ・ヒース 著)

この記事の所要時間: 247

この記事の所要時間: 約 2分47秒 1.スピードが私たちを在らぬ場所へ連れ去っていく時代 「理想は、私たちをもっとバカにではなく、もっと利口にする環境を生み出すための操作の対象のみならず、相互に作用しあう制度ともに協働…

「その読後感の変化に驚く。『スピード』が支配する社会がたどり着く場所」、『自由からの逃走』(エーリッヒ・フロム 著)

この記事の所要時間: 325

この記事の所要時間: 約 3分25秒 1.私たちの「自由」は今、どのような道をたどっているのか? 「自由の追求は形而上学的な力ではなく、自然法によって説明することはできない。それは個性化の過程と文化の成長の必然的結果であ…

「いつの間にか聴こえなくなってしまった声の元へ」、『棄国子女』(片岡恭子 著)

この記事の所要時間: 21

この記事の所要時間: 約 2分1秒 「命よりも大切なものなんてない。人生は一度しかない。刷り込まれた幻想に振り回されるのはやめよう。」(p.11) 「旅」という行為には、人それぞれ、様々な意味合いがある。それは人生そのも…