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【特典ポストカード付】 進化するアカデミア 「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来

ニコニコ動画やニコニコ生放送というwebサービスは、GoogleやFacebook、TwitterといったWebサービスとは異なる思想的バックグラウンドを持っている。

Googleは情報のオープン化や集積、整理を目指しているが、Facebookはコミュニティ、囲い込みによる利点に重点が置かれている。この両者は広告などの収益モデルが被っていることもあり同じIT関連の競争相手のように見えるしそういうところもあることも事実なのだが、思想自体は大きく異なっている。

現在、乱立しているようにも見える様々なWebサービスの中で設計思想としてこの2者が支配的な状況にも見えるが、この日本の中でその設計思想が異なるがゆえにシェアを伸ばしているサービスがある。それが株式会社ドワンゴのニコニコ動画、ニコニコ生放送などのサービスだ。

その設計思想のエッセンスとも言えるのが、下記のニコニコ宣言。

第一宣言 ニコニコは無機的な集合知ではなく人間のような感情を備えた集合知を目指します

第二宣言 ニコニコはすべてのものにコメントをつけられるサービスを目指します

第三宣言 ニコニコはネット上に人間本位の仮想世界を構築することを目指します

第四宣言 ニコニコはネットサービスをユーザと双方向につくりあげる作品として提供します

第五宣言 ニコニコはネットでのコンテンツと著作権の新しい可能性を追求します

第六宣言 ニコニコはすべての表現者が自由にコンテンツを発表できる場を守ります

第七宣言 ニコニコは仮想世界を現実世界へとつなげます

この宣言にインスパイアされ生まれたもののひとつがニコニコ学会βである。これは「創造性を加速させる仕組み」であるニコニコで研究し発表する場とする学会である。例えば、ニコニコにある有名なジャンルである「踊ってみた」とか「歌ってみた」と同じように「研究してみた」といった感じのユーザー参加型の学会なのだ。ここでは「研究」とは「理由があるクリエイション」だと定義している。

この学会は「誰もが研究者である」という根本的な思想によって成立している。これは20世紀の芸術家、ヨーゼフ・ボイスの「誰もが芸術家である」に触発された思想だという。「研究」という行為を社会に広く開くことを目的とし、さらに「研究者」は職業ではなく「ライフスタイル」である、と。

研究者の新しい生態系を作り出していくこと。その試みはまだ始まったばかりだ。

※試みのひとつ→「研究100連発」

(了)

 

【中川康雄(なかがわ・やすお)】
コンテンツメーカー。表象・メディア論、及びコミュニティ観察。
インディーズメディア「未来回路」主宰。
Twitter:insiderivers
個人ブログ:https://insiderivers.com

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