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平成はなぜ失敗したのか (「失われた30年」の分析)
野口 悠紀雄
幻冬舎 (2019-02-07)
売り上げランキング: 2,305

 日本経済にとって平成の30年間は、世界経済に起きた大きな変化に取り残された時代だった。これが本書における、平成という時代の総括ともいえるテーゼになっている。

 そのような時代になったのは、「努力したけれども取り残された」わけではないというのが重要だ。「大きな変化が生じていることに気がつかなった」ことが、平成の時代に50代〜70代を生きた著者が強調しておきたい指摘なのだ。
 その結果として生まれた現状を明確にし、著者の世代から次の世代にそこにある課題を引き継ぐこと。それが本書が書かれた目的である。

 日本という国の国際的な影響力がここしばらく下がり続けていることは、国内外を移動する人にとって実感としてわかることだろう。
 日本はほぼ横ばいで停滞している印象さえあるのに、東南アジアなどの経済途上国を含むその他の国々の状況は一目でわかるほど目覚ましく発展している。いわゆる先進国と呼ばれる国々と比べても、日本の経済成長のゆっくりさと先行きの不透明さは顕著な傾向があるといっていいだろう。
 このような状態は、世界的に起きた変化の重大性に日本が対応できなったことによるものである、というのが本書の主張である。

 現在、日本の景気は上向きで隣国は調子が良くないというイメージの流布がメディアなどで繰り返し行われているように思われる。また同じような失敗を繰り返そうとしているのではないか、そんな気さえしてくる。
 例えば、中国は現時点ですでに日本をはるかに上回るGDPを有するまでになり、2040年くらいには日本の10倍、アメリカの2倍となるという予測さえもある。しかもITや宇宙開発など、次世代の国際的なヘゲモニー争いに重要な産業も育ってきている。
 最近では、香港の株式時価総額が東京のそれを超えたことがニュースになったことも印象的だ。

 変わらずに世界的なプレゼンスを維持するためには、変わり続けなればならない。平成時代の日本において、その中核を担ってきた著者の世代から次の世代へのこの教訓を私たちは真摯に受け止めなければならないだろう。
 前世代から受け継いだものをさらに良いものにしていくこと。本書は、それができなかった平成世代からの遺産相続でもあるといって良いだろう。

平成はなぜ失敗したのか (「失われた30年」の分析)
野口 悠紀雄
幻冬舎 (2019-02-07)
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