「世界経済の中で今後を考える」、『リバース・イノベーション』(ビジャイ・ゴビンダラジャン, クリス・トリンブル 著)

この記事の所要時間: 216

一般的にイノベーションは、まず富裕国で始まるものだった。けれども、現在、イノベーションが最初に採用されるのが途上国であることが、多く見られるようになったという。その現象が「リバース・イノベーション」である。

そのリノベーションの大きな特徴は、途上国で生まれながらも、しばしば富裕国へと「逆流」していくところ。

途上国はもはや辺境の地ではなく、経済の中心になりつつある。今後20年にわたって、世界経済の成長の3分の2以上が途上国からもたらされると見込まれているのだ。

現在、富裕国の多くは高齢化の問題などを抱えた状態で、国内市場は低迷している。そして、その経済を活性化するための鍵は、強い輸入部門を築くことにあると予測されている。

ただし、それは従来のように欧米相手ではなく、新しい顧客である途上国で、爆発的に成長している中流層を念頭に置きつつ、それを実行することが必要とされている。

本書は、そのような世界情勢を前提とし、新しい状況には新しいマインドセットが必要と説き、その実践を理論的に説明した内容となっている。

今後、国内で生きていくにしても、世界経済の流れの中で現在地を確認することは、国内の情勢を先読みする上でも良き判断材料にもなるのではないだろうか。

以下、目次。

【第1部】 リバース・イノベーションへの旅

第1章 未来は自国から遠く離れた所にある
第2章 リバース・イノベーションの5つの道
第3章 マインドセットを転換する
第4章 マネジメント・モデルを変えよ

【第2部】 リバース・イノベーションの挑戦者たち

第5章 中国で小さな敵に翻弄されたロジテック
第6章 P&Gらしからぬ方法で新興国市場を攻略する
第7章 EMCのリバース・イノベーター育成戦略
第8章 ディアのプライドを捨てた雪辱戦
第9章 ハーマンが挑んだ技術重視の企業文化の壁
第10章 インドで生まれて世界に広がったGEヘルスケアの携帯型心電計
第11章 新製品提案の固定観念を変えたペプシコ
第12章 先進国に一石を投じるパートナーズ・イン・ヘルスの医療モデル
終章 必要なのは行動すること

【付録】 リバース・イノベーションの実践ツール ネクスト・プラクティスを求めて

以上。

【中川康雄(なかがわ・やすお)】
文化批評。表象・メディア論、及びコミュニティ研究。旅人属性。
インディーズメディア「未来回路」主宰。
毎週月曜日に自宅ブックカフェやってます。
Twitter:insiderivers
個人ブログ:https://insiderivers.com

Popular Posts:

Similar Posts:

facebook comments:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です