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この記事の所要時間: 232

プロブロガー・イケダハヤトさん(@IHayato)の著作だ。

本書のタイトルを見た時、多くの人たちは清貧的なライフスタイルのすすめのような内容をイメージするかもしれない。確かにそのイメージはある部分では当てはまるのだろう。けれども、ここで描かれているのは、単なる節約・節制のすすめではない。「お金があまりなくても生きていくことができる」、ではなく、「お金があまり必要とされない生活を作り上げる」ことに重点が置かれているのだ。それは価値観そのものを変えていくという話であり、生活の中でのお金の位置付けを変えていくということも意味している。

いわゆる貨幣経済への依存を相対化する流れは、高円寺の素人の乱やコンセプト型のシェアハウス、ギークハウス系のアクティブ・ニートたちらの起こしているムーブメントとも共有しているといえるだろう。そして、本書にはその共通点と共に、それらとの違いも現れているように思われる。その違いとは何か。それは「仕事」に対する向き合い方だ。

イケダさんが考える「働く」ということは、「世の中の問題を熱い想いをもって解決しようとすること」だという。「お金のために働く」から「問題を解決するために働く」へ。この「仕事」の位置付けが、前述したムーブメントと異なる点だと思われる。

具体的に多くのお金を稼ぐ必要のない生活を成り立たせるために有効なツールとしては、やはりインターネットが挙げられている。例えば、シェアハウスのマッチングサービスの「コリッシュ」や様々なモノをあげたりもらったりするプラットフォーム「リブリス」、旅人に宿泊する場所を提起したりしてもらったりすることのできる「カウチサーフィン」など、多くのウェブサービスの紹介がされている。ここでの重要な変化は、「テクノロジーと人々のつながりの力で、様々なモノやサービスのコストが減少する」、というところだ。これからも非効率な中抜きビジネスの縮小は継続していくことが予想されている。

あと、経済成長に関する考え方も述べられている。著者の考える経済成長の必要性、それは自分たちが金銭的に豊かな生活をするためではなく、何らかの事情で働くこと、稼ぐことが出来ない状態になった時のセイフティネットの構築のためにこそにあるのだということだ。

本書を通読すると、著者の描く未来の全体像が浮かび上がってくる。著者が実践しているライフスタイルをエキセントリックなものに感じていた人たちにこそ、手にとって欲しい本だ。また、文章から読み手への配慮を感じとることが出来た。本書を通じて著者の人柄にも触れることができるということも、おすすめしたい理由として挙げておきたい。

【中川康雄(なかがわ・やすお)】
文化批評。表象・メディア論、及びコミュニティ研究。
インディーズメディア「未来回路」主宰。
時々、自宅ブックカフェやってます。
Twitter:insiderivers
個人ブログ:https://insiderivers.com

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